まつたりおうぶライフ

三流の暮らしについての無為自然の話題、俳句等のブログです。

2017年04月

 いれものがない両手で受ける

 祖父の画集の別冊に中川瞭という方の「受ける」という一文がある。そこから引用させていただくと。「放浪の俳人尾崎放哉の行き果てた土庄港のはずれの小さな寺を、先生(祖父、古家新)に教えられた人は多いだろう。私たちもある日そこへ連れていかれたのだった。寒村の入り江に小さな庵がへばりついたまま風化をつづけていて、そこには時が流れていた。入江に出るまでの先生は、あまり口を聴かれず、ただ風にはためく綿布のように手足をバラバラにして歩いてゆかれた。しかしたどりついてからの庵の説明や放哉のことを話されるときは、まるで少年が秘密の小箱をあけてみせるときのようにうれしそうで、そして少し照れくさそうな表情をみなぎらせるのであった。放哉が捨て去ったものはこの地上の生ではなく、所有欲であろうか。所有・非所有の関係から抜け出たあとの句は、虚無とはほど遠い明るさがあり、ただ人が生きているとしかいいようがない。私はふと先生の絵に明るさが射し込んできていることを思っていた。先生は、小さな庵に不似合いなほど大きい句碑のまえに立たれ、長い右手を投げ出すように射し示された。石には、こう刻まれていた。

  いれものがない両手で受ける 放哉

hqdefault


祖父は小豆島尾崎放哉記念館の設立の為に晩年の生涯をかけた。記念館の扁額は祖父が揮毫したものである。現代俳句の未来に生涯をかけて取り組んだ訳である。

晴れてきて独りになった

images

迷惑といはれ海も暮れ

蘂ばかりやはりお前だ

春の山なら野辺送り

名前など知らぬ蝿生る

晴れてきて独りになった

公達の首に化粧ぞ花の塚

4月9日は童子関西句会の例会。
今回は私が幹事だった。朝方は本降りの雨となり、これは駄目かなと諦めていたら、須磨浦公園に到着した頃には、雨はあがり、お昼前には晴れ間もみえる花日和となった。
当日の吟行、句会の参加者は、14名。
17862543_1365127560233954_2235925796921999615_n
17861633_1365128773567166_472780223346860083_n
17903472_1366444883435555_7771472977570264270_n

私は、2時間前に到着し、沖合の釣場への渡り桟橋経由で鯛を狙う釣り人の様子をうかがった。

17796872_1365128786900498_7451299717334586397_n

その後、連衆も到着し、ロープウエイも朝方の天候が悪かったことから人の出足が遅れた為に、空いており、須磨の浜から展望塔までの往復を楽しむことが出来た。満開の桜の上をロープウエイで上がっていくのも絶景。
17634871_1363925653687478_983483724144412914_n
17862574_1365131926900184_224950546762785781_n

ブラタモリで放映されたカーレーターや回転展望塔等も楽しみ、下山後は、芭蕉、蕪村、子規、虚子の桜で囲まれた句碑をめぐり、敦盛塚へと足を伸ばす。

公達の首に化粧ぞ花の塚
ばつかんに溢るる程の桜鯛
子規虚子の句碑慈しむ山桜
終日に花見の人と釣りの人
釣り上げし鯛の目きらと花曇


いちばんわかりやすい俳句歳時記(KINDLE版)

DSC04197
いちばんわかりやすい俳句歳時記(KINDLE版)が発売された。
DSC04198

この歳時記は、四季の季語を1冊にまとめたものと、ハンディな分冊版が販売されているが、ネットで検索するとなんとAMAZONのKINDLEという電子端末向けのKINDLE版が販売されていることが判明。972円で販売されており、書店に行かずとも、KINDLEを持っているか、スマホやタブレットにKINDLEアプリをインストールし、
AMAZONと契約していたら、その場でダウンロード完了で書店に行く必要もない。
DSC04199
紙媒体よりもハンディです。何よりもよいのが拡大機能がついているので僕の様に酷い老眼で殆ど文字が読めないし、書けない人間にも重宝します。
ライター情報

関西大学文学部国語国文学科卒、佛教大学大学院修士課程国文学専攻修了(通信課程)
国学及び近世文学及び書誌学を肥田皓三先生に学ぶ。
趣味は、音楽(ピアノ、ギター演奏) 天体観測(惑星等)神戸市在住。俳句結社童子

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

月別アーカイブ
  • ライブドアブログ