まつたりおうぶライフ

三流の暮らしについての無為自然の話題、俳句等のブログです。

2019年12月

平家星

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冴ゆる夜に断末魔なる赤色星

最近のニュースによるとオリオン座のペテルギウスに異変が生じているという。異常に光度が落ちている。天文マニアのフィースブック投稿をみても、これまでに比べて大幅に暗くなったという指摘が。恒星は、壮健な時代には、核融合反応で白色に光って大きさも変わらないが年を経ると内部の元素の崩壊が進み巨大化、肥大化して、赤色の星に変わる。それが終わると今度は、更に光度が下がり、再び収縮を始める。最初は脈動となり、その後は、収縮が加速してやがて断末魔の爆発が起きる超新星が起きる。爆発の後は、ブラックホールや白色矮星が出来たりする。

平家星漁火より紅く海の上

ペテルギウスはもう爆発しているかもしれない。六四二光年も離れているから、今の様子が我々にわかるのは六世紀も後。

山崎宗鑑

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冬枯れの葦を使ひて一夜庵

俳諧の祖の山崎宗鑑が生涯を終えた一夜庵には琵琶湖の葦が使われているそうである。

瘍出来て辞世も近し河豚の鍋

軸は真ん中の古い紙片だけが山崎宗鑑の自筆であとは、パソコンから転写したものを和紙に刷り貼り付けたもの。古筆については真贋の程不明。値段が安かったのできっと駄目。

古筆切れ眺め尽くして冬の靄

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古筆切れ眺め尽くして冬の靄

中世期に源氏物語古筆切れの収集ブームとなって数多くの源氏物語の本文は裁断されて散失しました。おそらくは青表紙本以前の形態を遺す本文もその対象になったことでしょう。これらの中で今でも古筆切として伝世しているものが多数あり、これらを収集することで一層、古い時代の源氏物語の姿を知ることが出来ます。古筆切れや断簡で名高いのが国宝源氏物語と同じ時に出来た若紫巻が古筆切として発見されたことです。光源氏の顔等は近世風に書き換えられていたが、それ以外は、院政期に描かれた風景を伝えていました。若紫巻の断簡もいくつか古筆切として伝わっており、源氏物語絵巻の詞書もこの中にみることが出来ます。

御歴奏

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残照に生くるを知りて暦の奏

御歴奏とは、養老律令雑令
造暦条に、暦博士が毎年予め来年の暦を作成して旧暦十一月一日に中務省に送り、同省はそれを天皇に奏聞すること。各官司に一本ずつ与えて年が終わる前に頒布することが定められており、これに基づいて行われる儀式である。改元の年の御歴奏は、新しい時代を占うものとして特に重視された。

更級日記

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神寂びて琵琶を弾きたる寒さかな
寒月や日記懐かしき旅寝して
古写本の源氏求めんくだら野に

更級日記

冬の夜の月は、昔よりすさまじきもののためしに引かれてはべりけむに、またいと寒くなどして、ことに見られざりしを、斎宮さいぐうの御裳着おんもぎの勅使ちょくしにて下りしに、暁に上らむとて、日ごろ降り積みたる雪に月のいと明かきに、旅の空とさえ思へば、心ぼそくおぼゆるに、まかり申まうしに参りたれば、余の所にも似ず、思ひなしさへけおそろしきに、さべき所に召して、円融院ゑんゆうゐんの御世みよより参りたりける人の、いといみじく神さび、古めいたるけはひの、いとよしふかく、昔のふることども言ひ出て、うち泣きなどして、よう調べたる琵琶びわの御琴をさし出でられたりしは、この世のことともおぼえず、夜の明けなむを惜しう、京の事も思ひ絶えぬばかりおぼえはべりしよりなむ、冬の夜の雪降る夜は思ひ知られて、火桶ひをけなどを抱きても、かならず出でゐてなぬ見られはべる

写真は母が更級日記と源氏について書いた文章。ワープロで書かれている。更科日記に描かれている源氏物語は、今日、我々が目にしているものと違うかもしれない。定家が鎌倉時代に源氏物語の古写本をまとめて青表紙本をつくったが、それ以前、紫式部の原作に近い古態で書かれていた源氏物語を読んで日記の作者は感動している。その更級日記でさえも定家が写し、後世に残している。御物本と言われるが、定家の後の時代の本も全部、この御物本を写している。しかし、その御物本に錯簡があり、そのまま写されたので何がなんだが判らなくなっていた。それを御物本(現本)を冷泉家で発見した佐佐木信綱により錯簡が発見され、八百年ぶりに正しい形に改められたという経緯を持つ。
ライター情報

関西大学文学部国語国文学科卒、佛教大学大学院修士課程国文学専攻修了(通信課程)
国学及び近世文学及び書誌学を肥田皓三先生に学ぶ。
趣味は、音楽(ピアノ、ギター演奏) 天体観測(惑星等)神戸市在住。俳句結社童子

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