親友など独りもをらぬ盆の月
銭湯のけむりに隠れ盆の月
暗闇に下駄脱ぎ散らし秋の波

CA3I0506

盆明けて精霊舟の寄せる浜
精霊舟ひねもす削り舟大工

小豆島に独り預けられていた時、今と同じ寂しさを味わっていた。ただ一つの慰みは、精霊舟を造っている舟大工のところに毎日遊びにいくこと。舟大工は、精霊舟も漁船もみんなおなじように親方から譲り受けた和鉋で上手に削り上げていく。小豆島の昔の精霊舟は、殆ど漁船のミニチュア位には出来てをり、舟大工の腕の見せ所だった。
精霊舟について、先日の佛教大学の民俗学のスクーリングで発表したが安いもので一艘20万円もかかるらしい。死者の魂を海に送り出す精霊舟の風習も船大工さんがをらなくなったことやゐたとしても、精霊船をつくる手間賃が、昔とは全く違ってしまっているということ。
盆が明けた浜にも子供の頃には朝早くから近所の子供と泳ぎに行った。そうしたら、精霊舟が浜近くに漂い着いて、家に持って帰ってきてもの凄く叱られたことを覚えている。