南海に青き遺跡や鑑真忌
戒律の息吹く伽藍に青き蛇
荒はえや三手先組の堂内に
青葉して摩訶毘盧遮那の座像染む
五月雨や黙する御像目閉じて
鑑真忌であるが、今年は、ご開帳はないと聞く。残念。昨年に唐招提寺金堂の大修築を終えて始めて御像のご開帳である筈が、国難とも言うべき悪性の疫病の為に見送られたには誠に残念である。なんども渡海に失敗し、南海に投げ出された鑑真和上。それでも諦めずついには視力を失った鑑真を讃える芭蕉の句がよく引き合いに出されるが、芭蕉の句以上のできばえの句は他にはみられないのでこんな句をつくっても意味がないことはわかっている。昨日、童子六月号が届いた相変わらず俳句は低迷している。こんなことでないだろうかと思うが下手だからずっと続いているのだと思う。視力を失っても渡海を諦めなかった和上の心ばえにあやかりたいものである。