まつたりおうぶライフ

毎日の平凡で程度が低い暮らしについてそこはかとなく浮かび来る無駄な話題、俳句等のブログです。

今日の5句

みほとけは頬に指当て春待てり

露の宿に成り果てしかな御十念

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新聞のビニロン解きて芒かな

小部の地の大木やがて落葉かな
露の宿に成り果てしかな御十念
風呂場にて機織り虫の声しずか
燭継ぐや亡き俳人に月涼し

たおれ伏す鉢より零る萩の白

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たおれ伏す鉢より零る萩の白
祖母の琴朽ち立て掛けて月の膳
人をらぬ真菰の花のただそよぎ
鉢の木を捨てたる庭の良夜かな
母の手や月見の団子隠し塩

昔は母親が作ってくれたお月見の団子を食べたものでした。美味しかったなあ。今は、実家は誰もおらず、荒れた庭を放置しておくて近隣から苦情が来るので明日、植木鉢1個、土一升の残らず全部、業者に廃棄してもらいます。父親にも念を押したが、もう二度と実家で暮らすつもりはないということで早く処分して欲しいということなので、高い値段だが業者に頼むことにしました。たしか、枯れた鉢とかプランターとか荒れた庭をみたら暗い気持ちになるので何もかもダンシャリされた庭の方が父親にとってはよいのかもしれないです。先日、実家に戻ったら、倒れた鉢から一杯はみ出して白萩の花が零れんばかりに咲いておりました。

稲妻

 
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稲妻にぶちこまされて摩耶の嶺
雨月化粧福原をみな買うて呑む
十六夜女ひとりごち酔うて伏す
父ありく雨月のかはら冥府めく
秋雨にけがされて来るねこ拾ふ

父親のことなど

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父もまた待ち遠しきと曼珠沙華
白龍の御社冥し水澄みて
とりかぶと咲くや無人の家にまた
露草の疎らな庭にシャツ干して
宵闇に声かけられし白き手も

毎週、土曜日には往復4時間かけて父親の施設を訪問する。父親が毎朝、散歩をしていることは、携帯端末から発進される位置情報で把握しているが、1日たりともかかさず約30分間の散歩である。施設の東側には、猪名川(兵庫県と大阪府の県境)が流れる。一般的な散歩コースをその川西市側を上流までゆきそこにかかる絹延の橋を池田市(大阪府)に亘って、対岸を南下し、中橋(絹延の橋から1つ南側にある橋)まで来て、また、川西市に戻り、施設に帰ってくるというコース。時々は、中橋を亘って五月山まで散歩にいくらしい。五月山は桜の名所とされており、そのまま尾根づたいに北上して、東側に下ると箕面の瀧の側にいく道に降りる。父親はそこまではいかないが、近くの動物園がある辺りまで散歩して、山野草や木の実を採ってくる。また、中橋から下流に下ることもある。先日の台風の前夜、中橋の南側にある関の下側の川淀に川鵜数十匹、白鳥が数羽閑かに泳いでいたと言う。また、近くの小戸神社にもなんども出かけている。そこには、源満仲が放った矢が落ちて、当たった白龍がそこに死んでいたのでそれを祭った白龍神社の小さな祠がある。そこは、父親の若いとき、私が幼いときになんどもでかけた場所、父親の老人ホームは、再び遠く昔の生活環境に近いところにあるので、非常に父親は懐かしがって喜んでいる。
父親の毎朝の散歩の目的は、健康の為だというが、そのついで部屋に生ける花を摘んできたり、あるいは、句帳を持って様子をメモして部屋に帰って来て、俳句や短歌を毎日つくって楽しんでいる。父親が俳句や短歌が好きなことは、なんと、85歳になって施設に入って、毎週父親を訪問し、話をきくまでは知らなかった。ノートには、もう相当の俳句、和歌がしたためられていた。
それらをみてくれと言われていろいろと意見を述べてみたが、そうしたら自分の不勉強なことがよく判った。また、父親の様に近くでもよいから毎日散歩にいかないと駄目。父親が言うのは、「散歩にでかけるのは俳句をつくる為ではなくて、自然の心に近づくことが大事で自然の心に近づけばおのづから色々なものが見えてきて好奇心を持つことが出来て、それらをメモして、結果的に詩句にしてノートにとどめておくことになっている。」ということで、初心に返らねばならないと思った。父親の句はいずれ紹介するが全て写生句であり、なかなかのものであると思った。

解説

父親の介護施設がある川西市鶴之荘は阪急が戦前に開発分譲した高級住宅地であり、大きな屋敷が並んでいる。また、そこにもともと暮らしていた地主も区画の中に居住していて大きな土蔵などが今も残っている。東側には、標高が300メートルの五月山があり、西側の川西能勢口よりには、小戸神社がある。そこは、私が幼少の頃、通っていた幼稚園が現在も存在する。小戸神社は古記録を調べると、「おべ」の地名で記載されている。これは、織部とか下部(おりべ)の文字が充てられる。奈良県奈良市都祁吐山に下部神社があり、これは、春日大社の分社である。本殿は、背後の山上にあり、もともと拝殿が起こりであり、これは、大三輪神社と同様の最も原初の神社の名残である。川西市鶴之荘付近の小戸神社ももともと下部神社であり、背後の五月山を神体とする拝殿が起源であったと考えられる。律令制度下に於ける神道の思想統制により、古事記、日本書記に出て来る以外の神は排除され(明治時代の神仏分離よりも厳しかったと考えられる)大山津見尊、素戔嗚尊、天児屋根尊が祭神となっているが、もともとは、大山祇神への主祭神であったとみられる。山岳拝礼・岩座信仰が律令制度下に大山津見尊へと統合されていったのだと考えられる。また、境内には江戸時代の記録にもある大楠が神木として祀られている。これは、おそらくは大山津見尊の依代(ヨリシロ)と信仰されて来たものだと考えられる。白龍神社もあるが、これは、延喜式の時代に別の神社であったのが平安期に統合されて摂社化されたのだろう。

生身魂

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母と来し川辺歩きて生身魂
鮮やかな花生けにけり生身魂
亡き母の鉢の木愛ずや生身魂
生身魂楠の大樹を仰ぎけり
水澄みて閑かな父の散歩道

父親は毎日、介護老人ホームの周辺を散歩の日課で、歩数は6000歩を超えることも。
携帯端末で父親が行方不明にならないように毎日、エリアの出入りがメールで知ることが出来てようやく安心出来ます。介護ホームがある場所は、父と母が新婚時代を過ごした場所で、母との想い出の道を日々散歩するのが父の日課。

永久にまた生身魂たれ父笑ふ
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